クリニックのカウンセリングで「あなたは800株ですね」と言われても、正直ピンとこない方がほとんどだと思います。
800株が多いのか少ないのか、そもそも自分のM字ハゲにどれくらいの株数が必要なのか——。初めて自毛植毛を検討する段階では、この「株数の感覚」がつかめないのは当然です。
株数は薄毛の範囲や密度の希望、元の毛量によって一人ひとり大きく変わります。同じように見えるM字でも、必要な株数が倍近く違うこともあります。
この記事では、M字植毛における株数の考え方を、軽度・中度・重度の3パターンに分けて解説します。費用については別記事で詳しく扱いますので、ここでは「自分は何株くらい必要そうか」を判断するための視点に絞ってお伝えします。
軽度のM字
👉 400〜600株
生え際の角を自然に整えたい人向け。
薄さは改善するが、生え際の後退感はやや残る。
標準的なM字
👉 700〜1000株
左右+中央をカバーするケース。
一番多いゾーン。
進行したM字
👉 1000株以上
いわゆるベジータ型。
1回で終わらない可能性もある。
※頭頂部(つむじ)が薄い状態ではなく、生え際のみが後退しているケースを指します。
※正確な株数は診察で決まりますが、
この記事を読むことで「自分がどのゾーンか」は判断できます。
では、そもそもこの「株数」とは何を基準に決まるのでしょうか。
そもそもM字植毛の「株数」とは?
自毛植毛では、移植する単位を「グラフト(株)」で数えます。
1株には通常1〜4本程度の毛髪が含まれており、毛根ごと採取して移植します。「1000本移植」ではなく「500株移植」という表現をするのは、この株単位で施術を行うためです。
株数が多ければ当然カバーできる範囲は広くなりますが、重要なのは「適切な密度で植えられているか」という点です。広く薄く植えるより、必要な範囲に適切な密度で植える方が、自然で満足度の高い仕上がりになります。
ただし密度の考え方は少し複雑なため、この記事では株数の目安に焦点を当てて説明します。
軽度のM字|400〜600株が目安
どんな状態か
生え際の左右がやや後退しているものの、中央部分はまだしっかり残っている状態です。鏡で見たときに「少し角度がついてきたな」と感じる程度で、正面から見ても大きく目立つほどではありません。
髪を下ろせば隠れるレベルですが、額が広く見えるようになってきた、分け目を変えると気になる、といった自覚がある段階です。
どの範囲に植えるのか
主に左右の生え際、いわゆる「そり込み部分」を中心に移植します。中央の前髪ラインはほぼ残っているため、そこを避けて両サイドに集中的に植えるイメージです。
範囲としては片側あたり3〜5cm四方程度で、左右合わせて400〜600株がひとつの目安になります。
この株数が向いている人
- まだ薄毛が軽度で、予防的に整えたい人
- 生え際のラインを少し前に出したい人
- 初回の植毛で様子を見たい人
このレベルであれば比較的短時間の施術で済み、ダウンタイムも最小限に抑えられます。
中度のM字|700〜1000株が目安
一番多いケース
実際のカウンセリングで最も多いのが、このくらいの株数を提案されるパターンです。
M字の後退が明確に進んでおり、額の面積が広く見える状態です。前髪で隠そうとしても隠しきれない、横から見たときのシルエットが気になる、という段階です。
左右+中央に必要になる理由
軽度と違い、中央部分(前髪の生え際)も後退しているケースが多いため、左右だけでなく中央にも植毛が必要になります。
M字は「両サイドだけの問題」と思われがちですが、実際には生え際全体が後方にシフトしていることが多く、自然なヘアラインを作るには中央部分も含めた広い範囲への移植が求められます。
想定より株数が増えやすいポイント
「両側だけだから500株くらいかな」と思っていたのに、実際には900株必要だった——というケースはよくあります。
理由は、中央部分への移植が加わることと、生え際のラインを自然に見せるために「密度をある程度確保する必要がある」ためです。薄く広く植えると不自然になるため、適切な密度を保とうとすると株数は増える傾向にあります。
このゾーンの株数が必要な方は、まずは医師の診断で正確な範囲を確認することが重要です。
重度のM字|1000株以上になるケース
いわゆる「ベジータ型M字」
M字が深く進行し、生え際が大きく後退している状態です。前から見ると額が非常に広く、横から見ても生え際のラインがかなり後ろにあることが分かります。
よく「ベジータ型」と表現されるような、額の両端が鋭角に削れたような形になっている場合がこれに該当します。
頭頂部ではなく生え際のみ
この記事で扱っているのはあくまで「M字ハゲ」です。頭頂部(つむじ周辺)の薄毛は含まれていません。
M字だけでも1000株以上必要になるケースは十分にあります。むしろ生え際全体をカバーしようとすると、この株数は決して多すぎる数字ではありません。
1回で終わらない可能性
1000株以上を一度に移植することは技術的には可能ですが、ドナー部(後頭部)の状態や密度の希望によっては、1回目で土台を作り、2回目で密度を上げるという段階的なアプローチを提案されることもあります。
これは失敗ではなく、より自然で持続性のある結果を目指すための選択肢のひとつです。
株数は「少なければ安くなる」わけではない
「とりあえず少なめにして、後から追加すればいいか」と考える方もいますが、これには注意が必要です。
密度不足による後悔
株数を抑えて広範囲に植えると、確かに施術範囲は広くなりますが、密度が足りずに「透けて見える」「不自然に薄い」といった仕上がりになるリスクがあります。
特にM字植毛では、生え際という最も目立つ部分に移植するため、密度不足は非常に目立ちます。結果として「やらなければよかった」と感じるケースも少なくありません。
やり直しの方がコスト・負担が大きい
一度植毛をした部分に追加で植毛することは可能ですが、初回よりも技術的な難易度が上がり、費用も時間もかかります。
また、2回に分けることでダウンタイムも2回経験することになり、精神的・身体的な負担も増えます。
もちろん予算の都合もあるとは思いますが、「安く済ませよう」という考え方だけで株数を削るのは、長期的に見て得策とは言えません。
密度に関する詳しい考え方や、実際の費用感については別記事で扱いますので、そちらも参考にしてください。
まとめ
M字植毛で必要な株数は、薄毛の進行度によっておおよその目安があります。
- 軽度のM字:400〜600株(両サイドのみ)
- 中度のM字:700〜1000株(左右+中央)
- 重度のM字:1000株以上(生え際全体)
ただし、これはあくまで一般的な目安です。元の毛量や希望する仕上がり、ドナー部の状態によって適切な株数は変わります。
最終的には、医師の診断とカウンセリングで正確な株数を確認することが不可欠です。自己判断だけで進めず、必ず専門クリニックで相談しましょう。
「自分に必要な株数がある程度分かった」という方が次に気になるのは、やはり総額でいくらかかるのかという点だと思います。費用のシミュレーションや各クリニックの料金体系の違いについては、別記事で詳しく解説していますので、ぜひそちらもご覧ください。

